令和6年【 第15回福井県ビルメンテナンスこども絵画コンクール 総評 】
審査員代表 福山 厚子(福井大学産学官連携本部客員教授、小松美術作家協会理事)
福井県ビルメンテナンスこども絵画コンクールも今年で15回目を迎えました。作品テーマは「未来のおそうじ」。
年々応募者が増え、今年も県内に住む幼児から小学生まで、総数1,349点に及ぶたくさんの素晴らしい作品が集まりました。毎年この絵画コンクールに参加させて頂き思いますことは、その年の社会情勢を大きく反映した作品が多く見られる事です。
今年は最優秀賞に「世界をきれいにする鳥」が選ばれました。水彩画で描かれた美しい鳥たちが川の流れる平原を飛行しながら世界を浄化していくような姿を描写し、淡色系の色使いにきれいな川の水と陸の豊かな緑の構成に平和と安らぎの世界を連想させる美しい作品です。
過去には菌のおそうじなど除菌を表現した作品が多い年もありました。
昨今は宇宙開発によるゴミ問題や、海洋プラスチック問題、山の環境問題、異常気象問題などの視点から未来のおそうじを通して解決するような作品が多いように感じます。さらに人工知能の著しい進歩とテクノロジー技術の発展は身近になり未来のおそうじにも子供の想像力を表現した素晴らしい作品が多数寄せられました。
今年の協会賞は宇宙から掃除機でゴミを吸い上げるという面白い発想で、上からロケット掃除機と下から二人の笑顔の女の子がゴミ袋を持ってゴミ掃除をしている様子を水彩絵の具で描いた楽しい作品が選ばれました。
館長賞受賞作品は壮大なSF的発想で人と宇宙人が宇宙のおそうじをする様子が黒色の宇宙空間を背景にして多くの色を使い、宇宙ステーションや宇宙船、地球が繊細に描かれており発想・構成・技術ともに優れている作品と思います。
また金賞受賞作品は大きなビルディングをドローンが掃除道具を下げ、メンテナンス中の姿が近未来清掃の状況をイメージさせ、ドローンも色・形を上手く表現した面白い作品です。
さらに海の中でロボットや生きものが活き活きとおそうじする楽しさが伝わる描写や、シマエナガのおそうじ会社などファンタスティックで子供らしい夢のある微笑ましい発想による作品たちが銀賞に選ばれました。大人には思いつかない発想と、大人には描けない大胆で力強い描写と色使いの作品に触れていると、その作品から子供達の温かく優しい気持ちがあふれているようで幸せな気持ちになります。
私はいつも子供達の作品から学ばせてもらっています。また残念ながらほとんどの作品は賞に漏れてしまいますがどの作品も個性的で素晴らしいことをお伝えしたいです。これからも是非創作を続けてください。また皆様の作品に触れる機会をいただけることに感謝します。
福井県ビルメンテナンス協会は、こども絵画コンクールの開催により地域の子供達の情操教育において長きにわたり多大な貢献をされてきました。子供達がおそうじについて学び・考え・表現できる貴重な機会を与えてくれるこの絵画コンクールは、今後ますます各教育機関等から期待されていくことと思います。
貴協会の社会貢献活動において心から尊敬と敬意を表します。